FX(外国為替)市場では、通貨ペアの相関関係がトレーダーにとって極めて重要な要素の1つです。この相関関係を理解し、活用することは、成功を収めるためのカギとなります。本記事では、FX通貨ペアの相関関係とその相関係数に焦点を当て、それが投資戦略にどのように活用できるかについて詳しく解説します。
簡潔に言うと、FX通貨ペアの相関関係とは、異なる通貨ペアがどのように相互作用し合うかを示す重要な概念です。その関係性を理解することは、トレード戦略を構築し、リスク管理を向上させる上で不可欠です。この記事では相関関係の基本から始め、その関係性を評価する相関係数も詳しく解説します。また、その相関を投資戦略に活かす方法もご紹介します。さらに、金や原油など他の資産との相関に焦点を当て、市場動向を予測する方法についても探求します。
この記事を読むことで、相関関係の理解を深め、トレード戦略を最適化できるようになるでしょう。また、他の資産との相関についても学び、多角的な投資戦略を築く際に活用できる知識を提供します。相関関係を理解・活用し、リスクを最小限に抑えつつ、収益を最大化させましょう。
まずは、通貨ペアの相関関係の本質から解説していきます。
FX通貨ペアの相関関係とは一体何なのでしょうか?
結論、通貨ペアの相関関係とは外国為替市場で異なる通貨ペアの価格動向が互いにどのように関連しているかを示す概念です。これは、特定の通貨ペアの価格が他の通貨ペアの価格変動に対してどの程度影響を受けるかを評価するための指標です。
その仕組みや、相関関係の2つの主要なタイプ「正の相関」と「負の相関(逆相関)」について詳しく見ていきましょう。
FX市場の通貨ペア相関関係とは、異なる通貨ペアがどのように影響しあうかを示すものです。例えば、ある通貨ペアの価格が上がると、別の通貨ペアの価格も上昇することがよくあります。これは、相場での価格動向がどう相互作用するかを教えてくれる大切な指標です。
このような通貨ペア間の関係を把握すると、相場の動きを深く分析するのに役立ちます。例えば、国の政治状況や経済データが発表されると、それが直接通貨の価値に影響を与えることがあります。
簡単に言えば、FX市場の通貨ペア相関関係を把握すると、相場の変動を予測し、より良い投資判断に役立ちます。この関係を理解すれば、リスクを管理しやすくなるでしょう。
FXトレーディングにおいて、通貨ペア間の相関関係を理解することは非常に重要です。相関関係とは、一方の通貨ペアの価格動向がもう一方の通貨ペアに影響を与える状況のことです。
例えば、ユーロドルとポンドドルは正の相関が強いとされており、一方が上昇するともう一方も上昇する傾向にあります。もし一方の通貨ペアが先行して動き始めたら、もう一方の通貨ペアが将来どのように動くかを予測する手掛かりになることがあります。
例えば、以下のユーロドルとポンドドルの相関係数は0.83(週足)となっています。下記はユーロドルの週足チャートにポンドドルの週足チャートを重ねた画像です。
ユーロドルが下落しているときにポンドドルも下落していますし、逆も同様です。
つまり、非常に強い正の相関関係があり、その傾向は過去数年間変わっていません。
反対に、負の相関(別称:逆相関)とは、一方の通貨ペアの価格が上昇するともう一方が下落する傾向のことを指します。
例として、ドル円と豪ドル(AUDUSD)を比較してみましょう。下記は豪ドルの週足チャートにドル円のチャートを重ねた画像です。
豪ドルとドル円の相関係数は-0.81であり、負の相関関係があることが確認できます。また、こちらも昨年から傾向は変化していません。
トレード戦略においては、通貨ペア間の関係性を理解することがリスク分散につながります。リスクを分散するためには、相関関係が低い、あるいは、相関関係がない通貨ペアや銘柄を選ぶことが大切です。
通貨ペアの相関関係はどのように評価されているのでしょうか?
その評価を数値化したものが、相関係数です。相関係数は、通貨ペアの価格変動がどの程度同じ方向または逆方向に動いているかを数値で表したものです。相関係数は、通貨ペア間の関連性を数値化し、リスク管理や戦略の構築に役立つ情報を提供します。
その見方や具体例を詳しく見ていきましょう。
FX取引における相関係数は、異なる通貨ペア間の価格変動がどれだけ似ているか、または異なるかを数値で示す重要な指標です。この数値は-1から+1までの範囲で示され、+1は通貨ペアが同じ方向に動く「正の相関」を、-1は一方が上がるときにもう一方が下がる「負の相関」を意味します。
相関係数の求め方は、共分散や標準偏差を利用した複雑な数式に基づいていますが、TradingViewなどのインジケータを使えば、簡単に調査できます。相関係数が0に近い場合は、二つの通貨ペアの価格変動に関連性がほとんどない、または全くないとされます。
FX取引において、ドル円と他の主要通貨ペアや銘柄の相関係数を知ることは、長期的な投資戦略を立てる上で役立ちます。相関係数は、計測する期間の設定、相場の状況やファンダメンタルズによって変わるため、定期的なチェックが必要です。ここで紹介する数値は執筆時点のものであり、参考程度にご覧ください。
ドル円と各通貨の相関性(週足・過去1年)
これらのデータから、ドル円と負の相関関係があるのは豪ドル(AUD/USD)です。
一方で、リスク回避銘柄とされるドル円とゴールド(XAU/USD)の相関関係は最近低くなっています。また、ドルストレート通貨ペアとクロス円では、相関関係が異なるので注意が必要です。
通貨ペアの相関関係を投資戦略に活かせば、リスク管理や収益最大化が可能になります。では、どのように活用すればいいのでしょうか?
具体的には、以下の3つを行います↓
それぞれの投資戦略を詳しく解説していきます。
FX取引で、正の相関関係が強い通貨ペアを分析してトレードの精度を高める方法を紹介します。
例えば、ドル円とクロス円(ユーロ円やポンド円など)は非常に強い正の相関関係にあります。クロス円はドル円より動きが大きいことが多いです。
ドル円の動きを参考にしながらクロス円を取引すると、良い取引のタイミングを見つけやすくなります。ドル円が高値で推移し、下落し始めるとき、クロス円の下落幅はドル円を上回り、利益の機会も増えます。
クロス円の中でも正の相関が非常に高いポンド円を例に考えてみます。
過去1年間の価格推移を分析すると、強い正の相関性があることが分かります。
例えば、ドル円で強い上昇トレンドが発生しているときはポンド円でも上昇トレンドが発生している、もしくは発生する確率が非常に高いです。同時に推移するときもありますが、一方の通貨ペアが先行して推移するときもあります。取引する通貨ペアと正の相関性の高い通貨ペアの動向を把握すれば、ある程度、どのような動きをしやすいかが想定できます。
このように、相関関係が強い通貨ペアを上手に利用すれば、トレードの精度を向上させ、利益を増せます。
逆相関とは、一方の通貨ペアが上昇/下落する際に、もう一方が下落/上昇する傾向のことです。
例えば、ユーロドルと逆相関が強い通貨ペアはドルスイスフラン(USDCHF)です。執筆時点で相関係数は-0.73となっています。
ところで、トレーダーは、買いポジションだと利益が出やすい人、売りポジションだと利益が出やすい人の2つに分類できます。株取引の経験がある人は買いポジションが得意な人が多い傾向です。その得意な手法を逆相関が強い通貨ペアに活用します。
一般的に、上昇はゆっくりと時間を掛けて価格が上がっていきますが、下落は非常に早いスピード感でトレンドが進行する傾向があります。つまり、短期間で価格が下落していくため、売りポジションの方が短期間で大きな利益が出やすい。売りポジションで利益が出やすい人は、その部分を狙うのが良いでしょう。
例えば、ユーロドルで上昇を予想するとき、短期間で利益を出したいのであれば、逆相関が強いドルスイスフランの売りポジションを選ぶというトレード戦略を検討できます。
FX取引において、複数の通貨ペアを保有することはリスク分散に非常に効果的です。リスク分散とは、異なる動きをする通貨ペアや銘柄を組み合わせて、一方が損失を出した場合でも他方が利益を生むため、全体のリスクを減らす戦略となります。
相関関係が低い、または全く異なる動きをする通貨ペアを選ぶと良いでしょう。負の相関関係を持つ通貨ペアを選ぶのも一つの方法です。この場合、一方の通貨ペアが上昇するとき、もう一方は下落することが予想されます。
例えば、ドル円を取引する際には、相関関係が低くなっているユーロドルやポンドドル(GBPUSD)の動きを分析してみましょう。
一方、注意が必要なのは正の相関関係を持つ通貨ペアでポジションを分散しても、リスク分散にならない点です。なぜなら、正の相関関係を持つ通貨ペア同士は同じ動きをする可能性が高いからです。
Threetraderを使って通貨ペアの相関関係を活用する方法は、FX取引において非常に重要です。相場の状況や経済の動きによって、通貨ペア間の相関は変わるので、相関関係を定期的にチェックするのがおすすめです。
相関関係を調べる最大のメリットは、相関性の低い銘柄同士を選ぶことで、リスクを分散させるポートフォリオを作成できることです。
例えば、クロス円であっても、必ずしもドル円と高い相関関係があるわけではありません。執筆時点ではドル円とポンド円の相関関係は低いため、リスク分散ができるポートフォリオになります。
また、Threetraderではクロス円であってもスプレッドが低いため、取引コストを抑えられます。これはトレーダーにとって大きなメリットといえるでしょう。
相関関係は通貨ペア同士だけでなく、通貨と他の資産クラスにもあります。そして、その相関関係を理解すれば、多角的な投資戦略を築く際に活用できるようになります。
では、通貨と他の資産クラス、金や原油、仮想通貨などにはどのような相関関係があるのでしょうか?それぞれの相関関係を詳しく見ていきましょう。
金(ゴールド)は経済や政治が不安定な時に、安全資産として人気が高まります。不安定な時期は、金価格が上昇しやすいです。
2023年12月の時点で、ドル円との週足の相関係数は0.18となり、ほぼ相関関係がなくなっています。下記はドル円の週足チャートにゴールドチャートを重ね合わせた画像です。
相関関係が低いので、ドル円と金をポートフォリオに含めてトレードすると、分散投資の効果が期待できます。金を持つことで、ドル円の取引リスクをうまく分散できるのです。ドル円で含み損が発生していても、ゴールドのポジションには直接影響はしにくいと判断できます。
ただし、短期で取引する場合は、相関関係も異なってくるため、事前にチェックを忘れないようにしましょう。
原油の相場は経済活動と深く関連しています。経済が活発になると、原油の需要が増え、その結果価格が上昇する傾向にあります。逆に、アメリカの経済指標が弱まると、需要が減るとみなされ、原油価格は下落する傾向があります。
また、原油と資源国通貨の関係は非常に深いです。特に、原油価格の変動は資源国の通貨に大きな影響を与えます。主要国の中で資源国と呼ばれる代表がオーストラリアとカナダです。
例えば、原油と豪ドルの間には逆相関の関係が強く、原油価格が上がると豪ドルが下がる傾向があります。一方、執筆時点(2023年12月)でカナダドルと原油の相関性は低くなっています。
これらの情報は、FX取引やその他の投資において重要です。原油価格の動きを理解し、それに基づいて資源国通貨の動向を予測することが、効果的な投資戦略を立てる上で役立ちます。
最近、仮想通貨は独立した投資資産クラスとして注目されています。仮想通貨は従来の資産クラスと違う動きをし、相場の多様性を広げています。特に、ゴールドとビットコイン(BTCUSD)の間には正の相関性が高く、0.78という数値となっています。
通貨ごとにビットコインとの関連性は異なるため、それぞれの関係性を調査することが大切です。週足で見ると、ドル円はビットコインと0.59、ユーロドルとビットコインは0.33、豪ドルとビットコインは-0.37という相関係数を示しています。
上記のデータを基にすると、ビットコインとやや正の相関性があるのはドル円です。一方、ユーロドルや豪ドルは相関性が低いということが分かります。
仮想通貨を取り入れた投資戦略を考える際には、相関関係を理解し、適切な判断をすることが重要です。ただし、ビットコインを含む仮想通貨は価格変動が大きいため、分析と戦略には注意が必要です。
本記事では、FX通貨ペアの相関関係について詳しく解説しました。重要なポイントをまとめます。
相関関係の理解は、トレード戦略の成功に欠かせない要素であり、リスク管理と収益最大化に役立つ情報を提供します。正確な情報に基づくトレードは、成功への近道となるでしょう。ThreeTraderのプラットフォームを活用し、相関関係を利用して、より効果的なトレード戦略を構築しましょう。