トレール注文を駆使することは、FX取引において大きな利益を守りながら、リスクを抑える重要な戦術の一つです。本記事では、トレール注文の基礎から応用までを網羅的に解説します。
具体的には、トレール注文の仕組みや特徴、最強戦略、どのようにして最適なトレール幅を設定するかのおすすめツールも共有します。さらに、トレール注文を使った取引における注意点を解説します。
この記事を読み終えることで、トレール注文を使った取引の理解を深め、実際の取引においてより賢明な判断を下すための知識と自信を得られます。
トレール注文を最大限に活用するため、まずは、その仕組みや特徴から理解を深めていきましょう。
トレール注文とは、相場の値動きに応じて、逆指値注文が一定の値幅で相場に追従していく取引方法のことです。「トレーリングストップ」や「トレーリング注文」とも呼ばれています。
今から、トレール注文がどのように機能し、あなたの取引戦略にどのように役立つのかを掘り下げていきます。仕組みと特徴を詳しく理解することで、より効果的にリスクを管理し、利益を最大化できるようになります。
まずは、仕組みから詳しく見ていきましょう。
トレール注文は、相場の値動きに応じて逆指値注文の値幅を自動的に調整する仕組みを持った注文方法です。利益を確保しつつ、損失を限定的に抑えるために使われるトレーリングストップの一種であり、トレール幅は相場の変動に追従して動的に変化します。
【トレール仕組み】
①:エントリー価格
②:相場の上昇に伴いストップ価格も上昇
③:高値更新
④:一定幅の逆行で決済
上記の図のように、相場の上昇(下落)に伴って、ストップ価格が一定の値幅分、移動していきます。高値を更新した後、ストップ価格までトレンドに逆行すれば、ポジションが決済される仕組みです。
MT4/MT5では、ポイント幅でトレール幅を設定するため、注意が必要です。上昇トレンドではトレール幅分だけ下に、下降トレンドではトレール幅分だけ上に逆指値注文が設定されます。これにより、相場が有利な方向に動いている間は、ポジションを保有し続けることができます。
トレール注文の仕組みを理解することで、効果的にリスクを管理し、利益を最大化するための戦略を立てることができるでしょう。
トレーリング注文は、利益を最大化しつつ、損失を最小限に抑えるのに役立ちます。相場の重要な要素である「損小利大」を達成するのに非常に有効な注文方法です。また、相場の動向を常に監視する必要がなく、自動的にトレール幅が調整されるため、効率的な取引が可能になります。
トレンドフォロー型の戦略に適しており、トレンドの継続性を活用できるのも大きな特徴です。トレール幅の設定によって、利益と損失のバランスを柔軟に調整できるため、自分の取引スタイルに合わせた最適化が可能です。
ただし、相場の急激な反転やボラティリティの高い局面では、意図しない決済が発生する可能性があります。予想できない要人発言や経済指標の発表による一時的な急落・急騰によってポジションが決済されるリスクもあるため、注意が必要です。
また、トレーリングストップ注文では、天井や底で決済しないため、最大含み益でポジションを閉じられないという欠点もあります。レンジ相場でトレーリングストップ注文を使用すると、損切りを繰り返すことになるため、適切な相場環境の見極めが重要です。
トレール注文を最大限に活用して、利益を最大化しリスクを最小限に抑えるための最強戦略をお伝えします。具体的には、次の3つの戦略がポイントです。
これらの戦略を身につけることで、あなたは市場の動きを深く理解し、スマートに取引するための実践的なノウハウを得られるでしょう。それでは、1つずつ詳しく解説していきます。
トレンド相場を見つけて、トレンド方向にポジションを持ち、できるだけ利益を大きく伸ばすことが、資産を増やす最大のポイントです。トレーリングストップ注文を活用すれば、トレンドが継続している間は利益を伸ばし続けることができ、トレンドが反転した際には自動的に決済できます。
ただし、「トレンドが反転した」という判断を、どの指標で行うのかが最大のポイントとなります。いくつかの方法がありますが、「最高値から〇Pipsまで反転した場合」にポジションを決済するというのが有名な手法の一つです。
例えば、上昇トレンドの場合、直近の高値から50Pips下落した時点でポジションを決済するようにトレーリングストップを設定します。これにより、トレンドが続く限り利益を伸ばし続け、トレンドが終了した際には機械的に決済できます。
トレンド相場でトレーリングストップ注文を活用することは、利益を最大化しリスクを最小限に抑えるための強力な戦略です。
ボラティリティとは、相場の変動の度合いを示す指標です。
ボラティリティが大きい通貨ペアではダマシの変動幅も大きくなるため、狭いトレール幅を設定するとダマシによってポジションが決済されてしまうリスクが高まります。逆に、ボラティリティが小さい通貨ペアで広いトレール幅を設定すると、利益を逃してしまう可能性があります。
通貨ペアや銘柄によって異なるボラティリティに合わせたトレール幅の設定が重要です。ボラティリティの大きい銘柄としてはゴールドやポンド関連の通貨ペアが、ボラティリティが比較的小さい銘柄としてはドル円やオセアニア通貨ペアが知られています。
ボラティリティを計測するツールとしては、「ATR(Average True Range:アベレージ・トゥルー・レンジ)」が役立ちます。ATRについては、後の章で詳しく解説します。
トレーリングストップを効果的に活用するには、値動きが安定している通貨ペアを選ぶことが重要です。ドル円やユーロドル、ポンドドル、豪ドルなどの「ドルストレート通貨ペア」は、比較的安定した値動きを示すため、トレーリングストップに適しています。
一方、ポンド円やユーロ円、ユーロ豪ドルなどの「クロス通貨ペア」は、ボラティリティが大きく、値動きが非常に不安定になる可能性が高いです。特に、米国の経済指標の発表時には、上ヒゲや下ヒゲが伸びやすくなります。このような状況でトレーリングストップを設定していると、意図しない価格で決済されるリスクが高まります。
トレーリングストップを使う際は、値動きが安定しているドルストレート通貨ペアがおすすめです。
ただし、相場の状況によっては、ドルストレート通貨ペアでも大きな値動きを示す場合があるので、注意が必要です。
最適なトレール幅はどのように決定すればよいのでしょうか?そこで活用できるのが、正確で信頼性の高いツールです。このセクションでは、トレール注文の幅を最適に設定するためのおすすめツール、具体的にはATR、移動平均線、そしてダウ理論の利用方法について解説します。
これらのツールを駆使することで、市場のボラティリティを正確に捉え、より有効なトレール幅を設定することが可能になります。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)は相場の平均ボラティリティを測るテクニカル指標です。トレーリングストップのトレール幅の設定に活用すれば、相場の変動に応じた最適な幅が決まります。ATRが大きい場合は、相場のボラティリティが高いので、トレール幅を広く設定するのが効果的です。
一方、ATRが小さい場合は、トレール幅を狭く設定すれば、小さな価格変動でも利益を確定できます。トレンドの強さとボラティリティを考慮し、ATRの値に一定の係数を掛けてトレール幅とするのが一般的です。
【ATRトレール注文】
例えば、ATRの2.0倍をトレール幅にすれば、適度な余裕を持ちながらトレンドに沿ったトレードができます。
上記はポンド円のチャートです。ATRつまり平均ボラティリティは1.24となっています。トレール幅をATRの2倍に設定する場合、248Pipsがトレール幅となります。
ただし、トレール幅の設定は時間足や通貨ペアによって異なるため、自身の取引スタイルに合わせて調整が重要です。
移動平均線は、トレンドの方向性や強さを判断するために広く使われているテクニカル指標です。
移動平均線からの価格の乖離率が大きい場合は、相場のボラティリティが高いことを示すので、トレール幅を広く設定するのが効果的です。反対に、乖離率が小さい場合は、トレール幅を狭く設定すれば、小さな価格変動でも利益を確定できます。
【移動平均線トレール注文】
移動平均線を目安に、トレール注文を設定します。移動平均線の期間設定は28や52がおすすめです。通貨ペアやボラティリティに合わせて設定してみましょう。
また、複数の移動平均線を組み合わせ、その間隔をトレール幅にする手法もあります。
例えば、短期の移動平均線と長期の移動平均線を使い、その差分をトレール幅にすれば、トレンドの強さに応じた最適なトレール幅が設定できます。トレンドの方向性も考慮し、上昇トレンドでは移動平均線よりも上方に、下降トレンドでは下方にトレール幅を設定するのが一般的です。
ダウ理論は、トレンドの存在を前提とした相場分析の手法です。
上昇トレンドでは、ダウ理論における直近安値/高値を目安としてトレール幅を設定すれば、トレンドに沿った利益を狙えます。
【ダウ理論トレール注文】
上記はドル円の1時間足チャートです。ダウ理論が発生したと同時にストップ注文を設定し、押し目を形成してから高値を更新したタイミングで、ストップ価格を追従させていきます。このようにすれば、理論的にはトレンドが継続している間はポジションを保有することになり、大きなトレンドを狙えるでしょう。
ダウ理論では、トレンドラインから価格が乖離した場合、トレンドの転換を示すサインとして捉えられます。このような状況では、トレール幅の調整が必要です。
例えば、上昇トレンドでトレンドラインを下抜けした場合、トレンドの転換を示しているので、トレール幅を狭めるか、ポジションを決済するのを検討すべきです。
ダウ理論を適用したトレーリングストップは、トレンドの方向性と強さを考慮しながら、最適なトレール幅が設定できる優れた手法です。
トレール注文は多くのトレーダーにとって魅力的な取引ツールですが、その使用には注意が必要です。具体的な注意点は以下です。
これらの注意点を理解することで、トレール注文の落とし穴を避け、より賢明な取引判断を下すことが可能になります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
トレーリングストップは、トレンド相場で真価を発揮する注文手法ですが、レンジ相場では効果的ではありません。相場の7割はレンジ相場と言われており、トレーリングストップの使用には注意が必要です。
レンジ相場でトレーリングストップを使うと、ポジションを保有しては損切りの繰り返しになってしまいます。レンジ相場では、上値と下値が明確であるため、その範囲内で利益を取るのが得策です。
レンジ相場で利益を上げるためには、サポートラインとレジスタンスラインを見極め、その範囲内で売買を行うことが重要です。また、レンジブレイクを狙うことで、大きな利益を得るチャンスもあります。トレーリングストップは、レンジ相場では使わず、トレンド相場で活用することが賢明です。
トレーリングストップは、相場のだまし(一時的な上昇や下落)によって不必要に発動されてしまう可能性があります。だましを見極める技術が必要であり、初心者には難しい面があります。
だましに振り回されないためには、相場の流れを読む力が必要不可欠です。単に価格の変動だけでなく、出来高や時間帯なども考慮に入れて、相場の全体像を把握することが大切です。
また、テクニカル分析を併用し、だましを見抜く目を養うことも重要です。移動平均線やボリンジャーバンドなどのインジケーターを活用し、相場の勢いや方向性を判断します。これらの技術を身につけることで、だましに惑わされずに、適切なタイミングでトレーリングストップを設定できるようになります。
「相場の天井と底はくれてやれ」という格言があるように、トレーリングストップでは天井と底で決済できません。相場が一定以上反転しない限り、ポジションを保有し続けるため、含み益が大きくなったのを目にしながら減ってしまうと、損をした気分になりがちです。
トレーリングストップを使う場合、相場の転換点を見極める力を身につけることが重要です。RSIやRCI、MACDなどのオシレーター系指標を活用し、買われ過ぎや売られ過ぎの状態を判断します。これらの指標が反転のサインを示した場合、手動で決済することも検討しましょう。
また、指標発表前など、相場が大きく動く可能性がある局面では、手動決済する判断も時には必要です。トレーリングストップに頼りすぎず、柔軟な取引を心がけることが、利益を最大化するためのポイントとなります。
トレーリングストップ注文は、「損小利大」というトレードに重要な原則を達成するのに役立ちます。ThreeTraderは、スプレッドが狭く、経済指標発表時もスプレッドが開きにくいため、ポジションが意図せず決済されにくいというメリットがあります。これは、トレーリングストップ注文を活用する上で非常に有利な環境と言えるでしょう。
トレーリングストップ注文を利用すると、利益を最大限に伸ばすことができますが、最大含み益でポジションを閉じることはできません。これは、一定の反転がない限り、ポジションが決済されないためです。
そこで、ボリンジャーバンドの+3σや-3σ線など、極端な買われすぎや売られすぎの値になった場合に決済するなど、「アクティブ決済」を導入するのも一つの方法です。トレーリングストップ注文が「ネガティブ決済」、つまりそれ以上反転して含み益を減らさないようにする措置であるのに対し、アクティブ決済は最大限と考えられる価格で利益を自ら獲りに行くという裁量決済のイメージです。
さらに、ThreeTraderでは、トレーリングストップ注文と指値注文を同時に仕掛けることも可能です。これにより、利益を保護しつつ、さらなる上昇(または下落)の可能性を狙うことができるのです。
ThreeTraderの優れた取引環境を活かし、トレーリングストップ注文とアクティブ決済、そして指値注文を組み合わせることで、より効果的にリスクを管理しながら、利益を最大化するための最強戦略を実践することができるでしょう。
この記事では、トレール注文の基本的な概念から最強の戦略、トレール幅を決定するためのおすすめツール、そして使用する際の注意点まで、幅広く解説しました。
トレール注文は、市場の価格変動に自動で適応し、利益を最大化しながらリスクを最小限に抑えるための強力な取引方法です。その鍵は、トレンド相場での使用、ボラティリティに合わせたトレール幅の調整、そして安定した値動きを見せる通貨ペアの選択にあります。
また、トレール注文を有効活用するためには、レンジ相場や市場の「だまし」への弱さ、そして最高値や最安値での約定が難しい点などの注意すべき点も理解しておく必要があります。
ThreeTraderを活用することで、これらの戦略を実践に移し、効果的にトレール注文を使いこなすことができます。この記事を通じて得た知識を実際に試し、損失を最小限に抑え、利益を最大化させましょう。