ビットコインの価格は大きく上昇!現在は伸び悩み?
2024年のビットコインは大きく値上がりし、1年間で約120%の上昇を記録しました。
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【2024年のビットコイン相場】
2024年初は4万2260ドル(番号1)でスタートし、10万9000ドルの史上最高値(番号2)を記録、年末には9万3700ドル付近で推移しました。
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【2024年後半のビットコイン相場】
- 番号1・・もみ合いのレンジ相場
- 番号2・・トランプ大統領の暗号資産規制緩和発言
- 番号3・・トランプ大統領当選後の急騰
- 番号4・・史上最高値10万8300ドルを記録
ただし、1年を通じてずっと上がり続けたわけではなく、4月から9月までは価格があまり動かない「もみ合い相場」(番号1)となりました。
2024年後半になると、選挙中にトランプ大統領が「暗号資産の規制を緩和する」と発言したことで、ビットコインは再び上昇(番号2)。
大統領選直後の2024年11月6日から約1週間で、ビットコインが6万7800ドルから8万8870ドル(番号3)と、約2万1000ドル(約+30%)急騰しました。
その後は緩やかに上昇し、12月上旬には10万8300ドルの史上最高値(番号4)を更新しています。12月中旬以降は割高感も高まり、値動きが落ち着き、レンジ相場へと移行しています。
【2025年】史上最高値更新も、関税政策が影響
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2025年に入ってもビットコインは強気相場を維持し、2025年1月前半のわずか半月で1万2000ドルもの値上がりを記録しました。
トランプ大統領の就任式当日(番号1)、10万9500ドルの史上最高値を更新しましたが、その後は調整が入り、現在(2025年2月上旬時点)では9万8000ドル付近で推移しています。
価格が伸び悩んでいる背景には、以下の要因が挙げられるでしょう。
- トランプ大統領が就任演説で仮想通貨について言及しなかった
- 仮想通貨に関する大統領令への署名が遅れた
- すでに高値圏にあり、利益確定売りが出た
さらに、トランプ政権が発表した「カナダ・メキシコ・中国への関税」の影響もありました。
トランプ政権が関税方針を公表すると、株式市場や為替市場は不透明感が高まり、投資家がリスク資産をいったん手放して安全資産に移る『リスクオフ』の動きが強まりました。
その結果、ビットコインも売りが強まり、一時9万1000ドルまで下落しました。
関税は一部延期されましたが、中国に対する関税は予定通り実施され、市場の慎重な姿勢が続いています。
カナダとメキシコへの関税は延期されたものの、中国への関税は予定通り実施され、市場の慎重な姿勢は継続しています。
そのため、ビットコインは9万2000ドルから10万8000ドルの間で推移する「もみ合い相場」になっており、各国の政治動向が今後の価格変動に大きく影響すると考えられます。
トランプ政権の仮想通貨に関する大統領令はどんな内容?
2025年1月23日、トランプ大統領は「デジタル金融技術における米国指導力強化」という大統領令に署名しました。これは、暗号資産市場の規制を見直し、米国の競争力を高めるための政策です。
大統領令の内容を詳しく見ていきましょう。
大統領令の3つの柱
この政策は、主に3つの柱から成り立っています。
- 仮想通貨に対する規制の見直し
- 政府主導の暗号資産の規制や方針を決めるためのチームを作る
- 仮想通貨業界への支援策
2022年にバイデン政権は仮想通貨に対する規制を導入していましたが、トランプ政権は仮想通貨の普及を後押しする方針のため、前政権の規制を廃止しました。
また、金融機関が暗号資産を保有しやすくなる措置の導入を決定しました。暗号資産とAIの専門家を新たに政府高官に任命し、作業部会が設立されました。米政府として本気で仮想通貨と向き合う姿勢が示されています。
今後、1年間の間に、既存の規制の再検討、新しい規制の導入、最終的には米国の仮想通貨戦略備蓄創設の最終判断が下される予定です。
用語:ビットコインの戦略的備蓄
トランプ政権が検討している「ビットコインの戦略備蓄」とは、政府がビットコインを国家資産として保有する仕組みです。金(ゴールド)のように「価値の保存手段」として活用することを目的としています。
トランプ政権の発表後、ビットコインは一時10万6000ドルまで上昇しました。しかし、その後「米政府の暗号資産戦略が明確になるまで時間がかかる」との懸念から、9万5000ドルまで下落しました。
ただし、専門家の間では「政府が特定の暗号資産を優遇しすぎると、不公平な市場になるのでは?」という懸念も出ています。
今後の注目点は以下のとおりです。
・2025年2月15日に発表される規制の影響評価レポート
・ステーブルコイン(価格が安定した暗号資産)発行に関する新ルール
・米国が暗号資産をどのように活用するかの具体的な方針
トランプ政権の新しい仮想通貨に対する方針が、ビットコイン市場にどのような影響を与えるのか、今後も注目が集まりそうです。
米ビットコイン戦略備蓄創設とは?どんな影響がある?
トランプ政権が検討している「ビットコインの戦略備蓄」とは、米政府がビットコインを国家資産として保有する仕組みです。
金(ゴールド)のように「価値の保存手段」として活用することを目的としています。経済大国である米政府がビットコインを保有すると、ビットコインの金融市場での立場が大きく向上するでしょう。
価格が大きく上昇する可能性が高い
米政府が戦略的備蓄としてビットコインを保有すると宣言することになるため、買い支えが期待できます。米政府による購入なので、個人投資家とは比較にならないぐらい巨額です。
ゴールドの大きな上昇要因の1つが、世界各国中銀による買い支えです。同じような動きがビットコインでも発生する可能性が高いということですね。
米政府の保有が増加すれば、売り圧力が減り、価格が安定すると期待できます。
「デジタルゴールド」としての信頼性の向上
これまで、ビットコインは「投機的な資産」と見られることが多かったですが、政府が正式に保有することで「価値保存手段」としての信用が高まる可能性があります。
特に、他国の政府や機関投資家が「米国が保有しているなら、自分たちも持つべきだ」と判断し、ビットコイン市場への参入が増えるかもしれません。
中国などの他の主要国も追随する可能性
米国がビットコインを国家資産として保有する場合、中国なども同様の政策を取る可能性があります。特に、中国はすでに「デジタル人民元(CBDC)」の導入を進めており、ビットコインの保有も金融戦略の一環とするかもしれません。
政府が公式にビットコインを備蓄するということは、暗号資産のルールが明確になり、機関投資家(大手ファンドや銀行)がより安心して投資できる環境が整うことを意味します。
これにより、ビットコイン市場への大規模な資金流入が期待できるでしょう。
大統領令による計画だと、2026年1月までに、ビットコイン市場に大きな影響がある「ビットコイン戦略備蓄計画」の判断が下される予定です。
ビットコインのテクニカル分析
ビットコインのテクニカル分析をしていきましょう。
ビットコイン相場の分析ポイントは以下の3つです。
- 90日移動平均線が支持線として機能
- 日足ではフィボナッチリトレースメントを意識
- オシレータ系でダイバージェンスが発生
移動平均線
ビットコイン相場で意識されている移動平均線は90日移動平均線があります。90日移動平均線は中期のトレンドを示し、支持線や抵抗線として意識されることが多い移動平均線です。
以下はビットコインの日足チャートです。
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【BTCUSDと移動平均線】
トランプ政権が関税政策を発表した週明けの取引で、ビットコイン相場は9万1000ドルまで下落しました。反発したポイントが90日移動平均線と一致します。
レンジ相場が継続していますが、90日移動平均線は上昇基調を維持したままです。90日移動平均線を割ると、レンジ相場を抜けて大きな調整局面に入る可能性があります。
フィボナッチリトレースメント
ビットコインチャートにフィボナッチリトレースメントを描画しました。
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【BTCUSDとフィボナッチリトレースメント】
23.6%(約9万6000ドル)が支持線として意識されており、根強い押し目買いの強さを示しています。23.6%を割り込むと、38.2%つまり8万7000ドル付近まで下落する可能性があります。
ADXとオシレーター系
最後に、トレンドの強さを測るADXとオシレーター系指標を確認してみましょう。
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【BTCUSDとADX・オシレーター系指標】
RSIを見ると、右肩下がりになっており、徐々に下落基調が強まっていることを示唆しています。また、50を割っているため、現段階では下落圧力の方が優勢です。
MACDを見ると、ヒストグラムの2つ目の山が明らかに小さくなっています。2つ目の山が形成されたタイミングは、大統領就任式当日の史上最高値を更新したときです。
つまり、価格は最高値を更新したにも関わらず、明らかにMACDは右肩下がりです。そのため、ダイバージェンスが発生しているといえます。
ADXは33となっています。30を上回ると、トレンドが強まっていることを示唆します。方向を示す「-DI」が25となっており、「下落方向へのトレンドが強まっている」と判断できます。
テクニカル分析のポイント
・90日移動平均線を割るかどうかに注目
・フィボナッチ23.6%に該当する9万6000ドル台が重要支持線
・オシレータ系は下落を示唆しているため、大きな調整に注意
記事のまとめ
- 米政府の仮想通貨規制緩和が市場の焦点
- ビットコインはレンジ相場(9万2000ドル~10万8000ドル)
- 90日移動平均線とフィボナッチ23.6%が重要なサポート
- 2月15日の規制評価レポートが今後の相場のカギ