FX基礎知識
Sep 10, 2024

【FX】ATRとは?計算式と活用法 【具体的な使い方】

FX(外国為替取引)は多くのトレーダーにとって魅力的な投資機会ですが、成功するためには市場のボラティリティを理解し、リスクを管理する必要があります。その中でも、ATR(Average True Range)はトレーダーにとって貴重なツールとなっています。本記事では、ATRの本質的な意味、計算式、そしてFX取引での実用法について徹底的に解説します。 

ATRは市場のボラティリティを測定する指標で、トレーダーに市場の予測不確実性を把握し、適切なトレード戦略を立てる手助けをします。この記事を読むことで、ATRがどのようにしてリスク管理やエントリー・エグジットの判断に役立つかを理解できるでしょう。 

まずは、ATRの基本的な意味や計算式をカバーします。その後、リアルなトレードシナリオやプロのトレーダーが使う具体的な戦略をご紹介します。そのため、本記事では実践的な洞察も得られます。ATRの知識は、トレーダーの成功に不可欠な要素の一つとなります。この記事でATRの本質や活用法を理解し、損失リスクを最小限に抑え、利益を最大化させましょう。 

【FX】ATRとは? 

ATRは何を意味し、FXトレードにおいてどのように役立つのでしょうか? 

まずATRの意味についてですが、ATRはAverage True Range(アベレージ・トゥルー・レンジ)の略で、日本語では「真の値幅の平均」と訳されます。 

ATRを一言でいうと、市場のボラティリティ(価格の変動幅)を測定する指標です。この指標は、市場のボラティリティを測定し、その日の価格変動の実際の幅を示します。その結果、トレーダーにとって市場の予測不確実性を理解し、リスクを適切に管理するのに役立ちます。その特徴や利点を詳しく見ていきましょう。 

特徴 

ATRは、チャートに表示している通貨ペア・銘柄が過去の一定期間に平均してどれくらい変動したかを計算したものです。 

例えば、以下のチャートはドル円の日足です。 

「ドル円の日足ATR(14)=0.95」となっています。これは過去14日間で1日に平均0.95円(95ピップス)動いたということを表しています。この数字を知ることで、これからの通貨の動きを予想する手がかりにできるのです。ATRの数字が大きいと、価格の動きが大きく、取引のリスクが高いですが、利益を得るチャンスも多いことを意味します。 

逆に、数字が小さいと価格の動きが少なく、市場が比較的安定していると考えられます。取引の計画を立てる時、どれくらいの金額で取引するか、いつ買ったり売ったりするかを決める時に、ATRはとても役に立ちます。 

また、特に大きな経済ニュースがあるときや、市場が急に変動しそうなときは、ATRを見ておくと、そうした変動に備えるのに役立ちます。 

ATRの利点 

ATRとは、為替市場で価格がどれくらい変わりやすいかを示すものです。これを知ることで、為替の動きを予測し、上手な取引計画を立てることができます。為替の値がこれから大きく上がるのか、下がるのか、それともあまり変わらないのか、そういったことを予測するのに役立ちます。 

例えば、ATRを使って、取引でどれくらいのリスクがあるかを考え、もしもの時のために損失をどこで止めるか(ストップロス)を決めることができます。市場が忙しくて為替の値が大きく動く時は、慎重に少額から始めることができますし、市場が落ち着いている時は、もう少し大胆に取引しても大丈夫かもしれません。 

また、ATRは市場の動きが一定の範囲内にあるか、これから新しい動きが始まるのかを見極めるのにも使います。 

上記チャートはドル円の週足です。2022年の上昇トレンドが始まったと同時に、ATRのグラフも一気に上昇していることが確認できます。 

トレンドが発生する前までは1週間に約1.5円(150Pips)程度の値動きでしたが、トレンドが発生してからはどんどん上昇し、2022年の終わりには1週間で平均3.8円(380Pips)の平均値動きとなっています。過去よりも、ずっと大きい値幅となっており、このような場合はトレンドが発生する兆候として、注目できるでしょう。 

また、ドル円は安定した通貨ペアと考えられがちですが、ATRを見ることで、「現在、安定した値動きの通貨ペアなのか」を数値で確認できます。 

上手な取引のタイミングを見つけたり、リスクを管理しながら利益を狙ったりなど、シンプルなテクニカル指標ですが、メリットがたくさんあることが特徴です。初心者トレーダーの方にもわかりやすく、取引の判断に役立てるための基本ツールとしてATRをぜひ使ってみてください。 

具体的な利点をもう少し詳しく見ていきましょう。以下の3つを掘り下げていきます。 

ボラティリティの大きさを計測できる 
トレンドを把握できる 
資金管理に役立つ 

ボラティリティの大きさを計測できる 

ボラティリティ、つまり市場の値動きの大きさを知ることは、取引においてとても大切です。これはATRという指標で測ります。ATRが高いと、価格が大きく上下に動いているというサインですので、取引で大きなリスクや利益が出る可能性があります。この数値を使って、取引する際のお金の量を決めたり、市場が急に動いたときにどうするかの計画を立てたりすることができます。 

例えば、1時間足で見たATRが普段より大きい数値になっていると、その時間に予想以上の値動きがあったということです。そんなときは、安全を守るために少ないお金で取引をしたり、リスクを低くするために取引の量を減らしたりすることが考えられます。このようにATRをチェックすることで、市場が不安定なときでも上手に取引を進め、リスクを適切に管理しながら利益を目指すことができるのです。 

大きな経済ニュースやイベントの前には、ATRが急に高くなることが多いです。そういうときは、価格が大きく変わる可能性があるので、特に注意して取引を行う必要があります。市場の予測が難しいときにも、ATRは取引の参考になる重要なツールです。 

トレンドを把握できる 

ATR、つまり市場の値動きの平均的な幅を見ることで、市場が今どのような状況にあるか、どんなトレンドが起きているかを知ることができます。ATRが上がっている時は、市場が活発に動いていて、価格が上下に大きく変動する可能性があります。これは新しいトレンドが始まるかもしれないというサインです。 

逆にATRが下がっていると、市場の動きが落ち着いてきていることを示し、大きな価格変動の可能性は低くなっていると考えられます。また、しばらく市場の動きが小さかった後に、急にATRが上がる場合は、価格が大きくブレイクするかもしれないという警告信号となります。 

例えば、ドル円の日足でATR(14)=1.5と示された場合、過去14日間に1日あたり平均で1.5円の価格変動があったということです。過去と比較してボラティリティが大きくなっているときはトレンドが発生している可能性もあるため、注意するとよいでしょう。 

資金管理に役立つ 

ATRを使うと、取引でのお金の使い方をもっと上手に管理できます。市場の値動きが大きい時には、損失を限定するための「ストップロス」をどこに設定するかを決めることが大切です。これは、もし市場の動きが予想と違った時に、あらかじめ決めた範囲で損切りをするためのものです。 

具体的には「ATR×2」をトレーリングストップ水準として活用できます。できるだけ大きなトレンドを狙う場合に効果的です。下記のドル円1時間足のチャートで考えると、「ATR=0.089(8.9Pips)」となっています。この場合、ストップロス値を「8.9Pips×2」と考えて、「約18Pips」程度に設定できるでしょう。ローソク足が更新するごとに、ストップロス値を変更します。ThreeTraderのMT4であれば、自動設定も可能です。 

さらに、取引する際のポジションの大きさ、つまり、どれだけの金額を投資するかも、ATRを見ながら調整できます。 

例えば、ATRが普段よりも高い時は、市場が予想以上に動いているサインなので、リスクを抑えるために取引の量を少なくすべきです。このようにして、市場が急変した時でも損失を最小限に抑えることができます。 

また、経済の大きなニュースがある前や、価格が急に変わりそうな時には、ATRをチェックして、ストップロスの位置を再調整することも重要です。これにより、市場の急な変動による影響を受けにくくなり、長期的に資金を守りつつ増やしていくことができます。ATRは取引の際にどれくらいのリスクを負うかを決めるのに役立つツールとしても活用できます。 

【FX】ATRの計算式 

ATRは、FXでのトレードにおいて価値あるツールですが、その正確な理解と活用にはその計算式を知ることが不可欠です。このセクションでは、ATRの計算式を明確に解説します。また、計算式を理解することで、チャート上でATRをどのように読み取るかについても洞察が深まり、トレード戦略の決定に役立ちます。実際に、計算式を見ていきましょう。 

計算式 

ATRは、外国為替市場のように価格が常に変動する市場で、どれだけ価格が変動するかの平均を示す指標です。計算には「真の変動幅(TR)」と呼ばれる値を使い、これは簡単に言うと、一定期間内で価格がどれだけ動いたかを示します。 

具体的には、以下の3つの値幅から一番大きな差となっているものを「ATR」の数値として利用します。 

・当日の最も高い価格と最も低い価格の差 

・当日の高い価格と前日の終わりの価格の差 

・前日の終わりの価格と当日の低い価格の差 

この真の変動幅を、選んだ期間(例えば14日や20日)の平均値として計算し、それがATRの値になります。一般的には「14」が用いられますが、時間足やトレード手法によって変更しても問題ありません。 

チャートの見方 

ATRはチャート上で、市場の動きがどれだけ活発であるかを視覚的に理解するのに役立ちます。 

例えば、ATRの数値が高い場合、市場が活発で価格の大きな動きがあることを意味し、取引の際にはより慎重にリスクを考える必要があります。 

逆に、ATRの数値が低いと、市場が比較的安定していて大きな価格の動きが少ないことを示しています。これを理解することで、トレードのタイミングをよりうまく選び、利益を出すチャンスを逃さないようにすることができます。 

また、ATRを見ることで、トレードの計画を立てる際に有利なポジションを取るタイミングや、損を最小限に抑えるために市場から離れるタイミングを見極めるのに役立つため、賢い取引の助けとなります。 

【FX】ATRの活用法 

FXにおいて成功するためには、市場のボラティリティを理解し、それをトレード戦略に組み込むスキルが必要になります。このセクションでは、ATRを具体的なトレード手法とリスク管理にどのように活用できるかに焦点を当て、その有用性を解説します。 

まずは、トレード手法への活用法から見ていきましょう。 

トレード手法 

ATRの数値をチェックすることで、取引を始める(エントリー)や終える(エグジット)タイミングを判断することができます。 

例えば、市場がにぎやかで価格が大きく動いている時は、大きな利益を狙うチャンスがありますが、それには同時に大きなリスクも伴います。逆に、市場が静かで小さな動きの時は、少ないリスクで安定した利益を目指せます。 

ATRが高い時には、価格の変動が大きいので、少ないお金で慎重に取引をして、もし予想が外れても損失を小さく保つことができます。 

また、市場で新しいトレンドが始まるかもしれないときや、逆に今のトレンドが終わるかもしれないときに、ATRを見ることでその兆しをつかむことができます。そうすることで、市場の流れに乗って利益を出す戦略(トレンドフォロー戦略)や、市場の変化に逆らって利益を狙う戦略(逆張り戦略)をうまく使い分けることが可能になります。 

これらの情報をうまく活用すれば、FX取引のスキルが上がり、より成功に近づけるでしょう。 

リスク管理 

ATRを使うことで、取引のリスク管理ができ、急な市場の変動からお金を守る方法がわかります。例えば、予期せぬ価格の変動で損をしないように、あらかじめ損切りのライン(ストップロス)を設定するのにATRが役立ちます。これにより、市場が急に変わった時でも、損失を限られた範囲に抑えることができるのです。 

また、ATRを見ると、市場が今安定しているのか、それとも不安定な動きをしているのかが分かります。これを基に、取引でどれだけのリスクを負うかを決めることができます。例えば、市場が不安定でATRが高い時は、少し慎重に小さなリスクで取引するかもしれません。市場が安定していてATRが低い時は、もう少し大きなリスクを取ってもいいかもしれません。 

FX取引では、突然の価格変動で大きな損をすることもありますが、ATRを活用することで、そういったリスクを事前に把握し、上手に対処することが可能になります。ですから、ATRは取引をする上で非常に重要なツールなのです。取引を始める前に、このATRをしっかりと理解し活用することをおすすめします。 

ThreeTraderでATRを活用 

ThreeTraderでは、為替の値動きを示すATRを利用して、賢く取引ができます。ATRを使うと、為替が今後どれだけ動くかがわかるので、取引を始めるタイミングや終えるタイミングを決めるのに役立ちます。 

ThreeTraderでは、平日毎朝、直近の相場を分析するデイリーレポートを提供しており、これにはATRをもとにした「サポート」や「レジスタンス」という数値を基にする場合があります。 

事前に知っておくと、為替が急に動く前に準備をするのに役立ちます。もし価格がよく動く時は、リスクを少なくして慎重に取引し、逆に市場が落ち着いている時は、もう少し大きな取引をしても良いかもしれません。 

初めてのトレーダーでも、ThreeTraderで提供される情報を使えば、上手に取引を進めることができます。 

心理的な節目の価格水準を見極める 

為替取引をする時、どこで買いや売りをするかは大事な決断です。ThreeTraderのレポートには、ATRを基にして算出された、為替が変わりやすい「心理的な節目」の数字が掲載されることもあります。 

これは、多くのトレーダーが心理的に意識する価格で、この数字を知っていると、上手な取引のタイミングを見つけやすくなるでしょう。 

具体的には「始値+ATR、始値-ATR」の価格水準です。経験豊富なトレーダーはこの数字をよく知っていますが、一般の資料ではあまり紹介されていません。ThreeTraderはスプレッドが狭く、マーケットの価格水準ができるだけ反映されるようになっているため、精度がとても高いという点でメリットがあります。 

もちろん、毎回反応するわけではないものの、ATRから導き出される心理的な節目の価格水準を知っておくと、予想外の動きにもしっかり対応できるようになります。 

ThreeTraderを使えば、これらの大切な数字を毎日チェックして、賢く取引することができるようになります。また、スプレッドも非常に狭いため、取引コストを最小限にできるのが魅力です。 

まとめ|FXのATRとは? 

本記事では、​ATRについて詳しく解説しました。まず、ATRとは何か、その計算式はどのようなものかについて明らかにしました。そして、ATRの活用法に焦点を当て、具体的なトレード手法やリスク管理の方法をご紹介しました。 

ATRは、FXでのトレードにおいて、市場のボラティリティを測定し、トレーダーにとって不可欠な情報を提供します。正確な計算式を理解し、その日の価格変動の幅を把握することで、トレードのリスクを最小限に抑え、エントリーとエグジットポイントを効果的に設定することができるようになります。 

本記事で得た知識を早速トレードに活かし、損失リスクを抑え、利益を最大化させましょう。