今週の経済指標は比較的少ないが、注目すべきものがいくつかある。日銀の金融政策決定会合議事要旨や米サービス業指数、豪州の政策金利決定などが発表される。先週の日銀の利上げ決定を受け、市場は大きく反応し、日経平均株価が急落、円高ドル安が進んだ。世界的に景気悪化の兆しが見られ、株安が続いている。
為替市場では、日本のタカ派姿勢と米国を含む世界各国のハト派傾向により、これまでの円安ドル高トレンドが反転する可能性がある。ユーロ円や豪ドル円も急落しており、今後も円高傾向が続くと予想される。投資家は新たな相場環境に適応するためポートフォリオの見直しが必要かもしれない。
ドル円は長期上昇トレンドに一度ピリオドを打つことになった。これまでは、日銀は低金利・FRBは高金利という構図のもと、円安ドル高が継続していた。しかし、日銀が利上げ路線になり、FRBは利下げ観測が高まっている。つまり、これまでとは逆の円高ドル安となりやすい相場だ。日銀の利上げは4月以来であり、大規模金融緩和「アベノミクス」からの脱却を本格化させている。
米景気が悪化しており、米株、日株をはじめ、世界同時株安になっている。今後は米雇用に関する経済指標に相場は敏感になりそうだ。
ユーロ円は7月11日からの下落が継続しており、240日移動平均線を割っている。また、RSI(24)が25.26となっており、2013年以来で最大の下落となっている。「日銀ショック」によって、より円高傾向が強まっている。来週は一服すると思われるが、今後も円高傾向が継続する見通し。159円が直近の支持線となる。
世界はハト派、日本はタカ派と、これまでと全く逆の金融政策となる。そのため、これまで想定外の円安水準になったように、想定外の円高水準まで下落する可能性を十分考慮したポートフォリオを組みたい。
豪ドル円の日足チャートを分析する。豪ドル円のRSI(24)は22.5となっており、コロナショックの下落を超えた急落となっている。金融政策の違いによって、円の買い戻しが急速に強まっている。一度調整の動きはあると考えられるが、99円付近で推移する240日移動平均線が支持線となりそうだ。
1年の中でのビッグイベントが終わり、利益確定の動きもでるだろう。フィボナッチリトレースメントの61.8%に該当する94.9円で反発する可能性がある。